商品の販売価格の計算方法:利益率とマークアップ率の違い
公開日:
読了時間: 2 min
テーマ: 起業
著者: Leandro Valencia
商品の販売価格の計算方法を、1つの事例で最初から最後まで解説します。原価、利益率とマークアップ率の違い、マーケットプレイスの手数料、付加価値税まで含めた、損をしない値付けの手順です。
目次
商品の販売価格を計算するには、4つの数字が必要です。1個あたりの原価、確保したい利益率、販路に払う手数料、そして徴収すべき税金です。この4つがそろえば、価格は勘ではなく式から決まります。このガイドでは、1つの事例を最初から最後まで計算していきます。自分の数字で各ステップを確かめたいときは、無料・登録不要の利益率計算ツールをすぐに使えます。
利益率とマークアップ率:価格を変える違い
小さな事業の値付けの失敗は、ほとんどがここから始まります。利益率とマークアップ率は同じ利益から出す2つのパーセンテージですが、比べる相手が違います。
| 概念 | 何に対して測るか | 答える問い |
|---|---|---|
| マークアップ率 | 原価 | 原価にいくら上乗せしたか? |
| 利益率 | 販売価格(税抜き) | 売上のうち、どれだけが手元に残るか? |
価格は常に原価より高いので、同じ販売でも利益率は常にマークアップ率より低いパーセンテージになります。マークアップ率で考えているのに結果を利益率として読むと、実際より多く稼いでいると思い込みます。そして月末に効いてくるのは利益率です。入ってくるお金のうち、家賃や自分の給料、成長に使える割合を教えてくれるからです。
通しの事例:バレンティナのキャンドル
バレンティナはボゴタでソイキャンドルをつくり、マーケットプレイスで売りたいと考えています。目標はシンプルで、キャンドル1個ごとに40%の利益率を残すことです。コロンビアペソで数字を一歩ずつ追っていきますが、考え方はどの通貨でも同じです。
ステップ1:1個あたりの本当の原価を合計する
まず、キャンドル1個をつくるのにいくらかかるかを知ることです。ワックスだけではなく、1個つくるたびにかかるものすべてです。
| 項目 | キャンドル1個あたりの原価 |
|---|---|
| ソイワックスと芯 | 8,000ペソ |
| ガラス瓶 | 5,000ペソ |
| アロマオイル | 3,500ペソ |
| ラベルと箱 | 2,500ペソ |
| 工房のガスと電気 | 1,000ペソ |
| 1個あたりの原価合計 | 20,000ペソ |
表に入っていないものに注目してください。工房の家賃やバレンティナの給料です。これらはキャンドルを1個売っても100個売っても払う固定費で、多くの商品の利益を積み上げてまかないます。1個あたりの原価に混ぜると、どれだけかもわからないまま価格が膨らみます。
ステップ2:原価にパーセンテージを上乗せする典型的な間違い
バレンティナは、ほとんどの人が最初にやることをします。原価に40%を上乗せするのです。20,000 × 1.40 = 28,000ペソ。この価格をつけて、40%稼いでいるつもりになります。
しかし、その40%はマークアップ率であって利益率ではありません。28,000ペソで売ると1個あたり8,000ペソの利益で、28,000に対する8,000は利益率28.6%です。目標まで11ポイント以上足りず、しかもまだ手数料も税金も数えていません。それらを加えると、この価格は赤字になります。
ステップ3:本当に目標の利益率が残る価格を計算する
40%を本当の利益率にするには、逆から考えます。価格の40%を手元に残したいなら、原価は残りの60%でなければなりません。つまり価格は原価を0.60で割ったものです。
価格 = 原価 ÷ (1 − 利益率) = 20,000 ÷ 0.60 = 33,333ペソ
確認:33,333 − 20,000 = 13,333の利益で、13,333 ÷ 33,333 = 40%。今度は合っています。この価格のマークアップ率は66.7%であることに注目してください。利益率40%を得るには、原価に40%よりずっと多く上乗せする必要があるのです。
ステップ4:マーケットプレイスの手数料を差し引く
バレンティナが販売するマーケットプレイスは、顧客が支払う価格に対して各販売の13%を取ります。33,333ペソなら手数料は4,333ペソで、利益は9,000ペソに下がります。利益率は27%です。計算していた利益の3分の1近くをマーケットプレイスに持っていかれました。
手数料も原価と同じく価格から出ていくので、式の中で取り分けておく必要があります。請求する1ペソのうち13センターボが手数料に消え、40センターボを残したいなら、原価は残りの47センターボに収まらなければなりません。
価格 = 20,000 ÷ (0.60 − 0.13) = 20,000 ÷ 0.47 = 42,553ペソ
42,553ペソなら手数料は5,532ペソ、利益は17,021ペソで、再び価格の40%です。しかし、最後のお客さんがまだ残っています。
ステップ5:税金を分ける。それはあなたのお金ではない
バレンティナはコロンビアの付加価値税(IVA)の課税事業者なので、掲載価格には19%を含めなければなりません。このお金は収入ではありません。コロンビアの税務当局DIANに納めるために預かるものです。1件あたりの本当の収入は、価格を1.19で割ったものです。
価格を税込み42,553ペソのままにすると、税抜きの収入は35,759ペソです。総額にかかる手数料は5,532ペソのままです。利益は35,759 − 20,000 − 5,532 = 10,227ペソで、税抜き収入に対する利益率は28.6%。またしても40%には遠く届きません。
税金を式に入れるには、利益率と原価は税抜き価格に対して、手数料は総額に対して測ります。
価格 = 原価 ÷ ((1 − 利益率) ÷ (1 + 税率) − 手数料率)
価格 = 20,000 ÷ (0.60 ÷ 1.19 − 0.13) = 20,000 ÷ 0.3742 = 53,447ペソ
ステップ6:端数を丸め、掲載前に検算する
53,447ペソでキャンドルを出品する人はいません。バレンティナは53,500ペソに丸め、その価格でもう一度すべてを計算します。
- 税抜き収入:53,500 ÷ 1.19 = 44,958ペソ
- マーケットプレイス手数料:53,500 × 13% = 6,955ペソ
- 1個あたりの利益:44,958 − 20,000 − 6,955 = 18,003ペソ
- 利益率:18,003 ÷ 44,958 = 40.0%
試したすべての価格を、手数料13%、税込み19%の条件でまとめるとこうなります。
| 掲載価格 | 税抜き収入 | 手数料 | 1個あたりの利益 | 実際の利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 28,000(原価 + 40%) | 23,529 | 3,640 | −111 | −0.5% |
| 33,333(手数料・税金なし) | 28,011 | 4,333 | 3,678 | 13.1% |
| 42,553(税金なし) | 35,759 | 5,532 | 10,227 | 28.6% |
| 53,500(完全な式) | 44,958 | 6,955 | 18,003 | 40.0% |
「直感的な」28,000ペソは、40%に届かないどころか、キャンドルが1個売れるたびに111ペソを失っていました。売れば売るほど損をしていたのです。これが、利益率とマークアップ率を混同することの本当のコストです。
すべてをまとめる式
この記事から1つだけ持ち帰るなら、この順番にしてください。
- 1個あたりの原価: 1個つくる、または仕入れるたびにかかるものすべて。
- 目標利益率: 税抜き価格のうち、手元に残したい割合。
- 手数料: 販路が取る割合で、総額に対して計算する。
- 税金: 徴収すべき付加価値税。課税事業者でなければ0。
- 価格 = 原価 ÷ ((1 − 利益率) ÷ (1 + 税率) − 手数料率)。そのあと丸めて検算する。
結果がマイナスになったり、ありえない数字になったりしたら、式が警告しています。その手数料、その税金、その原価では、求める利益率はその販路では達成できません。
価格はメッセージでもある
式が教えてくれるのは、望む利益を得るための最低価格です。市場がそれを払うかどうかは教えてくれません。キャンドル1個53,500ペソは、手づくりのギフトとして見られるなら妥当かもしれませんが、同じページに25,000ペソの量産品が並んでいれば問題になります。
ここで価格は単なる計算ではなく、ポジショニングになります。顧客に、あなたを誰と比べるべきかを伝えるのです。だからこそ、マーケティングミックス(4P)のガイドで説明しているように、製品・販路・コミュニケーションと一緒に決める価値があります。数字がポジショニングに合わないとき、バレンティナにはやみくもに値下げする前の選択肢があります。
- 手数料のかからない販路で売る。 Instagramや対面イベントで直接決済にすれば、同じ利益率40%で税込みの価格は20,000 × 1.19 ÷ 0.60 = 39,667ペソ。マーケットプレイスより約14,000ペソ安くなります。
- 1個あたりの原価を下げる。 瓶をまとめ買いしたり箱を変えたりするほうが、手数料の千ペソを争うよりずっと最終価格を動かせます。
- 特定の販路では別の利益率を受け入れる。 マーケットプレイスで30%でも、あとで直接買ってくれる顧客を連れてくるなら意味があります。
- セットで売る。 3個セットにすれば包装と送料を分散でき、1回の注文額も上がります。
利益を食いつぶす5つの間違い
- 利益率とマークアップ率を混同する。 原価に40%上乗せしても、利益率は40%ではなく28.6%です。
- 手数料を税抜き価格で計算する。 プラットフォームは顧客が払う税込み額に手数料をかけます。
- 税金を収入として数える。 徴収はしても、あなたのお金ではありません。利益率は税抜き価格で測りましょう。
- 固定費を1個あたりの原価に入れる。 家賃は販売量でまかなうもので、目分量で1個ずつに割り振るものではありません。
- 計算せずに競合の価格をまねる。 競合の原価、販路、利益率はあなたのものとは違います。
自分の数字で計算してみる
1ペソ1ペソがどこから来るのかがわかったら、自分の商品で試してみましょう。利益率計算ツールでは、原価、手数料、税率を入力し、今の価格の利益率を見るか、目標の利益率に必要な価格を出すかを選べます。今使っている価格で試してみてください。実際の利益率に驚いたなら、月末より今気づくほうがずっといいはずです。
Step-by-step guide
1個あたりの原価を合計
材料、包装など1個ごとにかかるものすべて。固定費は含めません。
目標の利益率を決める
原価ではなく、税抜き価格に対する割合です。
販路の手数料を取り分ける
顧客が支払う税込みの総額に対して計算します。
税金を分ける
利益を測る前に、価格を(1 + 税率)で割ります。
式に当てはめて丸める
原価 ÷ ((1 − 利益率) ÷ (1 + 税率) − 手数料率)。丸めたら検算します。
Frequently asked questions
希望する利益率から販売価格を計算する式は何ですか?
手数料も税金もなければ、原価を(1 − 利益率)で割ります。原価20,000、利益率40%なら、価格は20,000 ÷ 0.60 = 33,333です。マーケットプレイスで販売し付加価値税を徴収する場合、完全な式は 原価 ÷ ((1 − 利益率) ÷ (1 + 税率) − 手数料率) です。
原価に40%を上乗せしたのに、なぜ40%儲からないのですか?
その40%は原価に対して計算したもの(マークアップ率)で、利益率は価格に対して測るからです。原価20,000の商品を28,000で売ると8,000が残ります。これは原価の40%ですが、価格の28.6%にすぎません。しかもこれは手数料と税金を引く前で、それらを引くとさらに小さくなります。
マーケットプレイスの手数料は税抜きと税込み、どちらにかかりますか?
多くのマーケットプレイスや決済サービスでは、手数料は顧客が支払う総額、つまり税込み価格にかかります。だから見た目以上に重くなります。自分のものではない税金にも手数料を払っているからです。プラットフォームの規約を確認してください。1件ごとの固定手数料を加えるところもあります。
掲載する価格に税金を含める必要がありますか?
課税事業者であれば、はい。ラテンアメリカやスペインでは、最終消費者に見せる価格は通常、税込みで表示する必要があります。その税金は国のために預かるものなので、利益を測る前に差し引いてください。課税事業者でなければ、税率0%で計算します。
計算した価格が競合より高くなったらどうすればいいですか?
やみくもに値下げしないでください。まず、1個あたりの原価を下げられるか、手数料のかからない販路で売れるか、その販路では量と引き換えに低い利益率を受け入れられるかを確認します。それでも足りなければ、価格に見合う差別化が必要か、その売り方では採算が合わないのかもしれません。
家賃や自分の給料は1個あたりの原価に入れますか?
入れません。1個あたりの原価には、1個つくるたびにかかるものだけを含めます。材料、包装、1個ごとにかかる作業分の人件費です。家賃、光熱費、固定の給料は固定費で、多くの商品の利益でまかないます。そのために損益分岐点を計算するのです。
関連記事
興味を持ちそうな関連コンテンツを探し続けましょう

起業教室の選び方:学ぶべき内容とコースの決め方
起業教室は本当に意味があるのか?良いコースが扱うべきテーマ、オンライン・対面・メンタリングといった形式の違い、そして怪しい講座を見抜くためのポイントを解説します。

起業の学習ロードマップ:何をどの順番で学ぶべきか
起業のために何を、どんな順番で学べばよいのか。6つのステージごとに身につけるスキルと成果物、順番を間違えて時間とお金を損しないための学習ロードマップを解説します。

起業とは何か?定義・種類・誰も教えてくれない本質
起業の本当の意味をわかりやすく解説。明確な定義、6つの種類、よくある誤解、そしてラテンアメリカで起業する準備ができているかどうかの判断基準まで、実践的にまとめました。
提携
私が毎日使っていて、このコミュニティがより良い条件で使えるツールです。